《所得税法反租税回避細則》(意見募集稿)その2

 2008-04-06
  4月2日に書いた記事の続き。《企業所得税法》に関連する通達として《所得税法反租税回避細則》が4月中旬に公布されるという話だ。この中でコスト分担協議について言及されているとのこと。そもそもコスト分担協議とは企業間が一種の契約性協議を締結して、締結各方が研究開発または役務活動において共同分担するコストを約定するものであり、共同してリスクを負担し、予想収益とコストに見合う原則に従って合理的に収益を分かち合うものである。そして、《企業所得税法》第41条に「企業とその関連方が共同開発、無形資産譲受、または共同提供、役務受入れにより発生するコストについて、課税所得額を計算するときに独立取引原則に従って割り当てなければならない。」とある。これにより、コスト分担協議は総部機構の研究開発により生じたりともに享受する費用コストを世界中の子会社等に分担させることができ、費用を税前計上することができ、特段の問題なく企業の税収負担を減少させるものとなりうると考えられていた。

  しかしながら、《所得税法反租税回避細則》は決して企業が期待しているような方向とならないようだ。この中において役務類のコスト分担協議には制限が加えられる模様だ。役務に関するコスト分担協議は一般的に集団購買と営業販売の計画策定に適用され、企業が締結する役務類のコスト分担協議は国家税務総局に提出し批准を取得する必要があるという形になりそうだというのがメディアで紹介されている。コスト分担という考え方が濫用されるのを防止るのが目的のようだ。

  以前はどうだったのだろうか。《外商投資企業及び外国企業所得税法》第20条では、「外国企業が中国国内に設立した機構・場所が、その総機構(本社)に対して支払った当該機構・場所の生産・経営に関連する合理的な管理費は、総機構(本社)が発行する管理費の集計範囲、総額、配布根拠と方法の証明文書を提供し、注冊会計士の監査報告を付し、所轄の税務機関の審査批准後、費用として処理することができる。外商投資企業はその分支機構に対してその生産・経営に関連する管理費を合理的に配賦しなければならない。」とあるように、以前も理論的には管理費用の税前控除は「税務機関の審査批准」というステップは必要だったのである。《所得税法反租税回避細則》においてもこの部分は結局変わらなさそうな感じだ。

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プロフィール

呉 明憲 (meiken@jris.com.cn)

Author:呉 明憲 (meiken@jris.com.cn)
1992年3月 神戸大学経営学部卒業。
1992年4月 住友銀行(現三井住友銀行)入行。
2002年11月 三井住友銀行上海支店へ駐在。
2003年1月 キャストコンサルティング(上海)有限公司へ派遣。
2005年1月 日綜(上海)投資コンサルティング有限公司設立に伴い同社副総経理に就任。

住友銀行入行後、ほぼ一貫して法人業務畑を歩む。上海支店赴任後は中国ビジネスコンサルティングに特化し現在に至る。

日中経済貿易センターJCCNETコメンテーター
財団法人海外職業訓練協会(OVTA)国際アドバイザー

経歴と全く関係ないが週に一度のキックボクシングの練習は欠かせない。

主な執筆
「呉明憲コンサルタントのナレッジストリーム「(『bros』)
「中国税関実務AtoZ」(『The DailyNNA』(中国総合版))
「中国における企業再編」(『bizpresso』)
日綜(上海)投資コンサルティング会員向けニュースレター(JRIS NEWS、一問一答)
週刊エコノミスト2008年4月8日号(高齢化社会の到来で注目のシルバー産業)
週刊エコノミスト2008年8月5日号(ニート、パラサイト化する中国「80後」世代の生態)
週刊エコノミスト2008年11月4日特大号(ネット通販の商品を職場で受け取る中国人)

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