経営者がたくさん儲けるのはだめですか?

 2008-03-27
  上海において、経営者と普通職員の給与収入の差が10倍以上の国有企業、集団企業は給与の集団協議を行わなければならないという通達が公布された。《2008年の給与集団協議工作を推進することに関する通知》というのがそれだ。この中で、給与集団協議を必要とするものとして、
(1)経営者と普通職員の給与収入の差が10倍以上
(2)50%以上の職員の給与が全市職員平均給与の50%を下回る、または職員給与の伸びが1.5%未満の企業
(3)最低給与を取得している人数が30%を超過している企業
(4)出来高制を実行している企業
(5)行政に対して給与集団協議の展開を承諾した企業
(6)労働集約型企業が比較的集中している工業園区

  また、上海では今年実現する目標として4つあげており、
(1)企業が給与集団協議を行う労働者人数が前年比10%増加
(2)国有または国有株式支配企業において、給与集団協議を展開する企業の比率が75%以上に達すること
(3)既に労働組合を設けている非公企業において、給与集団協議を展開する企業の比率が60%以上に達すること
(4)各区県で新たに二つの区域性または業種性の給与集団協議を展開すること。

とまあ、以上のような感じである。

  通達自体は国有企業や集団企業を対象にしていることから、外商投資企業やその他民営企業には関係ないということになるのだが、気になるのはやはりタイトルにもしたのだが、「経営者がたくさん儲けるのはだめですか?」である。昨日の記事で上海市の昨年の年間平均給与が34,707元、つまり月間平均だと2,900元弱ということになるのだが、この十倍といっても約3万元である。民間企業であればこのくらいの収入を取得している経営者はゴマンといるだろうし、リスクをとって経営者になっているわけであるからたくさんもらっても当たり前だと私は思う。もし仮にこの通知の精神が民間企業にも波及、援用されるようになると大変だ。労働契約法の施行以来労働争議も増加しているようであり、それに加えて給与の集団協議までやられると企業運営の労力もバカにならないだろうし、ベンチャー精神にも影響するとかえってマイナス面の作用が目立つことになってしまうかもしれない。本通達の民間企業にまで広がらないことを願うばかりである。

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プロフィール

呉 明憲 (meiken@jris.com.cn)

Author:呉 明憲 (meiken@jris.com.cn)
1992年3月 神戸大学経営学部卒業。
1992年4月 住友銀行(現三井住友銀行)入行。
2002年11月 三井住友銀行上海支店へ駐在。
2003年1月 キャストコンサルティング(上海)有限公司へ派遣。
2005年1月 日綜(上海)投資コンサルティング有限公司設立に伴い同社副総経理に就任。

住友銀行入行後、ほぼ一貫して法人業務畑を歩む。上海支店赴任後は中国ビジネスコンサルティングに特化し現在に至る。

日中経済貿易センターJCCNETコメンテーター
財団法人海外職業訓練協会(OVTA)国際アドバイザー

経歴と全く関係ないが週に一度のキックボクシングの練習は欠かせない。

主な執筆
「呉明憲コンサルタントのナレッジストリーム「(『bros』)
「中国税関実務AtoZ」(『The DailyNNA』(中国総合版))
「中国における企業再編」(『bizpresso』)
日綜(上海)投資コンサルティング会員向けニュースレター(JRIS NEWS、一問一答)
週刊エコノミスト2008年4月8日号(高齢化社会の到来で注目のシルバー産業)
週刊エコノミスト2008年8月5日号(ニート、パラサイト化する中国「80後」世代の生態)
週刊エコノミスト2008年11月4日特大号(ネット通販の商品を職場で受け取る中国人)

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