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外資による人民元出資の可能性

 2010-05-20
 クロスボーダー貿易人民元決済が昨年7月に開始して以来、今年3月までで上海では決済総額が73億元でこれは全国の約50%、また人民元決済試点参加企業は第一陣で92社が認定を受け、第二陣で963社が報告されている。上海市商務委員会外国投資管理処の湯超副処長によると、今後は輸出企業については不良記録がなければ基本的に試点範囲に組み入れ、輸入企業に関しては税額還付に関係しないことから、その制限はもっと小さくするとしていくという。しかしながら、人民元決済がなかなか拡大していかないのは外国企業が人民元を保有したとしても、それをどう運用していいのかという選択肢が少ないことが理由のひとつとしてある。そこで現在考えられているのが人民元のオフショア市場だ。中国人民銀行は香港での人民元オフショア市場を支持するとしており、また上海で人民元オフショア口座を開設できるかどうか研究しているという。

 また、湯副処長によると、国外にある人民元で出資することについて研究が行われているという。《中外合弁経営企業法》、《中外合作経営企業法》のいずれにおいても外国企業は必ず外貨で出資しなければならないとされていない。例えば、《中外合弁経営企業法実施条例》の中で、外国合弁者が出資する外貨は、払い込み当日の中国人民銀行が公布する基準為替レートで人民元に換算または約定した外貨に換算する」という表現があり、外国投資者は外貨で出資することが前提となっているように読み取れる。人民元が完全に開放されたわけではないからそう読み取るのが自然だ。しかしここでは、だからといって外国投資者の人民元出資を禁じているわけでもないという考え方をしている。調べてみたところ、古い規定で《対外貿易経済合作部:外商が人民元を以って投資することの関連問題に関する通知》という1998年に公布された通知がある。この中で、「外商として出資する人民元は、必ず当該外商が中国国内で設立したその他の外商投資企業から獲得した人民元利潤であること。」と定められており、その他の規定では持分譲渡や清算により獲得した人民元を以って出資することができるという通達がいくつか見られる。今までこれら以外のケースで、外国投資者が人民元で出資した例もないようであり、人民元で出資できるのであれがこれは確かに面白い。既に二社が人民元出資のニーズがあることを示しており、今後商務部や外貨管理局に対して打診していくという。こういったことが実現してくと、外国企業の通貨ポジションに影響が生じてくるだろう。目先の人民元切り上げには間に合わないだろうが、中期的に見て今後この政策が実施されることを睨んで、色々とスキームを考えるのも面白いだろう。
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プロフィール

呉 明憲 (meiken@jris.com.cn)

Author:呉 明憲 (meiken@jris.com.cn)
1992年3月 神戸大学経営学部卒業。
1992年4月 住友銀行(現三井住友銀行)入行。
2002年11月 三井住友銀行上海支店へ駐在。
2003年1月 キャストコンサルティング(上海)有限公司へ派遣。
2005年1月 日綜(上海)投資コンサルティング有限公司設立に伴い同社副総経理に就任。

住友銀行入行後、ほぼ一貫して法人業務畑を歩む。上海支店赴任後は中国ビジネスコンサルティングに特化し現在に至る。

日中経済貿易センターJCCNETコメンテーター

経歴と全く関係ないが週に一度のキックボクシングの練習は欠かせない。

主な執筆
「呉明憲コンサルタントのナレッジストリーム「(『bros』)
日綜(上海)投資コンサルティングニュースレター(JRIS NEWS、一問一答)
週刊エコノミスト2008年4月8日号(高齢化社会の到来で注目のシルバー産業)
週刊エコノミスト2008年8月5日号(ニート、パラサイト化する中国「80後」世代の生態)
週刊エコノミスト2008年11月4日特大号(ネット通販の商品を職場で受け取る中国人)

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