対中投資なお増加中

 2008-03-14
  一時の進出ラッシュが一段落してしばらくになるが、やはり以前と比べて会社の新設は減ってきた印象がある。しかしながら、先日商務部長がコメントした内容によると投資そのもののの勢いは決して悪くないようだ。以下は商務部長のコメント。

 ・ 今年1-2月の実際使用外資(FDI)金額は増加しており、大プロジェクトの投資、人民元高によりも たらされた増加幅が鮮明。
 ・ この二ヶ月に限って言えば、特に3000万米ドル以上の投資が昨年対比2.5倍にも上っている。
 ・ 「米ドルで中国へ投資し、人民元転するならば、当然早くなければならない。遅くなれば同じ米ドルでも得られる人民元は少なくなる」ともコメント)要するに人民元の対米ドル高も外商が出資を急ぐ原因であるという意味)。
 ・ 中西部投資についても昨年対比中部1.4倍、西部3.3倍と増加。
 ・ サブプライム問題や先進国経済の停滞により、中国の投資成長性が高く、より中国への投資へ向いている

  商務部長が言うように、人民元高という要因を見れば確かに早めに投資するのがいいのだろう。ただし、投資を行うからには当然リターンを得なければならず、果たしてその実現性があるか否かを検証した上で行うべきである。特に今年は企業所得税法、労働契約法、近年来の動きで言えば加工貿易政策の変更といった、アンフェイバーな動きが一気にやってきている。また、環境問題も騒がれ始めていることから、環境保護に対するコストもこれからは考えていかなければならないだろう。そして、元に戻るが人民元高であるので、輸出に頼る商売ではこれからはしんどいといわざるを得ない。実際に以前に比べると中国国内市場へ販売する動きも見られているし、今後よりその動きが加速していくだろう。今のところは中国国内販売を行っているといっても中国に進出している日系企業向け販売の比率も多く、純粋な“中国地場企業向け”中国国内販売の比率は今後まだまだ引き上げられていくのではないかと思う。もちろん、以前から言われているように、中国地場企業の信用リスク、回収リスクを考えるとそんなに派手に展開できないであろう。あまりあれこれ考えるとなかなか前に進まないが、「一日一歩、三日で三歩、三歩歩いて二歩下がる」くらいの気持ちのほうがいいかもしれない。

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プロフィール

呉 明憲 (meiken@jris.com.cn)

Author:呉 明憲 (meiken@jris.com.cn)
1992年3月 神戸大学経営学部卒業。
1992年4月 住友銀行(現三井住友銀行)入行。
2002年11月 三井住友銀行上海支店へ駐在。
2003年1月 キャストコンサルティング(上海)有限公司へ派遣。
2005年1月 日綜(上海)投資コンサルティング有限公司設立に伴い同社副総経理に就任。

住友銀行入行後、ほぼ一貫して法人業務畑を歩む。上海支店赴任後は中国ビジネスコンサルティングに特化し現在に至る。

日中経済貿易センターJCCNETコメンテーター
財団法人海外職業訓練協会(OVTA)国際アドバイザー

経歴と全く関係ないが週に一度のキックボクシングの練習は欠かせない。

主な執筆
「呉明憲コンサルタントのナレッジストリーム「(『bros』)
「中国税関実務AtoZ」(『The DailyNNA』(中国総合版))
「中国における企業再編」(『bizpresso』)
日綜(上海)投資コンサルティング会員向けニュースレター(JRIS NEWS、一問一答)
週刊エコノミスト2008年4月8日号(高齢化社会の到来で注目のシルバー産業)
週刊エコノミスト2008年8月5日号(ニート、パラサイト化する中国「80後」世代の生態)
週刊エコノミスト2008年11月4日特大号(ネット通販の商品を職場で受け取る中国人)

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