こりゃ確かに納得いかんわ

 2008-03-31
  浙江省麗水市で起こった事件だ。美容院の女主人が詐欺で7億元(100億円弱)の資金を集めたことにより、浙江麗水市中級人民法院の一審で詐欺罪により死刑判決が出された。そして、この判決が出る一日前に、上海市労働社会保障局の元局長が保険基金を158.56億元(約2250億円)も使用したにもかかわらず、長春市中級人民法院で収賄、公金横領、職権乱用の罪で懲役18年という判決が下されたのである。日本の場合はこのような金銭にまつわる犯罪で死刑判決が下されることはないが、中国においてはありえるのだ。
 
  しかーーーし、これは明らかにおかしいだろう。7億元の詐欺が死刑で、158.56億元(124.21億元が回収不能)が懲役18年。なんでこうなるのかなあ?なんとも柔軟的すぎる判決の幅の広さである。振り幅が激しいとはこのことか。お役人はどれくらい横領して初めて死刑になるのかと納得しがたいという考えを持った人は少なくないようだ。7億元の詐欺で死刑判決が出される一方で、158億元もの公金横領が懲役18年ですむくらいであれば、きっと18年もたたないうちに釈放されるお目こぼしもあるかもしれない。

  こりゃ確かに納得いかんわ。

経営者がたくさん儲けるのはだめですか?

 2008-03-27
  上海において、経営者と普通職員の給与収入の差が10倍以上の国有企業、集団企業は給与の集団協議を行わなければならないという通達が公布された。《2008年の給与集団協議工作を推進することに関する通知》というのがそれだ。この中で、給与集団協議を必要とするものとして、
(1)経営者と普通職員の給与収入の差が10倍以上
(2)50%以上の職員の給与が全市職員平均給与の50%を下回る、または職員給与の伸びが1.5%未満の企業
(3)最低給与を取得している人数が30%を超過している企業
(4)出来高制を実行している企業
(5)行政に対して給与集団協議の展開を承諾した企業
(6)労働集約型企業が比較的集中している工業園区

  また、上海では今年実現する目標として4つあげており、
(1)企業が給与集団協議を行う労働者人数が前年比10%増加
(2)国有または国有株式支配企業において、給与集団協議を展開する企業の比率が75%以上に達すること
(3)既に労働組合を設けている非公企業において、給与集団協議を展開する企業の比率が60%以上に達すること
(4)各区県で新たに二つの区域性または業種性の給与集団協議を展開すること。

とまあ、以上のような感じである。

  通達自体は国有企業や集団企業を対象にしていることから、外商投資企業やその他民営企業には関係ないということになるのだが、気になるのはやはりタイトルにもしたのだが、「経営者がたくさん儲けるのはだめですか?」である。昨日の記事で上海市の昨年の年間平均給与が34,707元、つまり月間平均だと2,900元弱ということになるのだが、この十倍といっても約3万元である。民間企業であればこのくらいの収入を取得している経営者はゴマンといるだろうし、リスクをとって経営者になっているわけであるからたくさんもらっても当たり前だと私は思う。もし仮にこの通知の精神が民間企業にも波及、援用されるようになると大変だ。労働契約法の施行以来労働争議も増加しているようであり、それに加えて給与の集団協議までやられると企業運営の労力もバカにならないだろうし、ベンチャー精神にも影響するとかえってマイナス面の作用が目立つことになってしまうかもしれない。本通達の民間企業にまで広がらないことを願うばかりである。

賃金上昇中!

 2008-03-26
  上海市の最低給与基準がまた引き上げられることになりました。4月1日より現行の840元から960元になります。時間工の最低給与基準は7.5元から8元に引きあがります。上海市では1993年より最低給与制度をスタートしており、これが16回目ということですので、平均するとほぼ毎年のようにあげられているということになります。ここ最近で言えば750元→840元→960元というように増加しており、伸び率で言えば12%(750元→840元)、14.3%(840元→960元)と決して小さな数字ではありません。ここ最近の物価高等を反映させているといえるでしょう。また、上海市の年間平均給与も発表されており、去年の年間平均給与は34,707元、前年比17.4%増の数値となっております。上海市の平均給与は個18年連続の伸びとなっております。
 
  一方で、2007年の北京市の年間平均給与が北京市統計局、国家統計局北京調査総隊より発表されました(個体工商戸は除く)。年間平均給与は39,867元で前年比3,770元(+10.4%)の伸びとなっております。
 
  この統計でいう給与は個人所得税納付前の税前給与であり、基本給与、賞与、各種手当・補助から構成されており、基本給与、賞与、各種手当・補助が含まれているのみならず、単位が源泉徴収する社会保険や住宅積立金の個人納付部分といった各種費用も含まれます。前年との比較表になっていますので、それをご覧ください。
 
北京市従業員年間給与比較表
 
2006年
2007年
年間平均給与
36,097元
39,867元
平均以上に達している人の比率
39.3%
42.6%
10万元超の業種
証券業、銀行業、法律サービス、水上運輸、航空運輸、パイプライン輸送と石油、天然ガス採掘業
証券業、パイプライン輸送業、銀行業、航空運輸業、水上運輸業、企業向け融資サービスのその他金融活動等の業種
8-10万元の業種
保険業、タバコ製品業、法律サービス、石油・天然ガス採掘業、放送・テレビ・映画・音像業、電信とその他情報伝送サービス業、知的財産権サービス、工事技術と計画管理等の業種
2万元以下の業種
家具製造業、飲食業、紡織服装・靴・帽子製造業、棒職業、プラスチック製品業、保安サービス業等
文化娯楽体育用品製造業、非金属鉱選鉱・採鉱業、紡織業、農業、紡織服装・靴・帽子製造業、皮革・毛皮・羽毛(綿毛)及びその製品業、非鉄金属選鉱・採鉱業等
業界内部での差が大きい業種
銀行業:年間平均給与が100万元を超過しているところもあれば、低いところでは年間平均給与が4万元以下のところもある
証券業:年間平均給与が100万元を超過しているところもあれば、低いところでは年間平均給与が4万元以下のところもある

(出典:競網)
 
  この表をごらんいただければお分かりになるかと思いますが、上下の格差が激しいのは否めません。例えば金融業界の人件費コストが結構高く、また金融関係の中でも年間平均で100万元以上ももらっているところもあるくらいです。この数値はおそらく投資銀行業務を主として行っているところの数値化と思われますが、それでも平均値でこれだけの水準というのはかなりのものです。一方で年間平均給与2万元以下の業種も少なからず存在しております。どこの媒体かは忘れてしまいましたが、平均給与自体は上がっているものの、平均以下の層では数年来全くあがっておらず、逆に一定レベル以上の層の給与が上がっており、それが平均数値を引き上げているようです。先ほどの100万元超はともかく、感覚的には上下の格差は今後も広がっていくような気がします。

中国における記事の著作権

 2008-03-24
  このブログを書き始めてから以前にも増して新聞記事やメディアサイトを見るようになった。そして、以前から気づいていたのだが、同じ内容の記事がまったく同じ文章で紹介されているケースが非常に多い。たとえて言うならば読売新聞と産経新聞がまったく同じタイトル、同じ文章の記事を掲載しているようなものである。これに関して面白いコメントを見つけた。当サイトともリンクを貼っている落ち穂拾いブログ(http://ochibohiroi.blog102.fc2.com/)にあるコメントだ。(これ)によると、『こうも転載記事(日本語で正しくいえば丸パクリ)が多い背景として、もともとニュース自体が大本営発表で、どの新聞社も一字一句同じことしか書かないけれども各自自社ニュースとして流しているところに源泉があるのではないかと思います。「著作権」とか「創作者の権利」という考え方がなかなか根付かない、いや意識されないのもこういった国情のせいなのでしょうか。』。なるほど、この考え方ならよくわかる。しかし、使命感の強いジャーナリストだったらきっと物足りないだろうなあと思う。「転載記事を掲載しないとしょうがないけれど、私はジャーナリストとして本当はこう思うのだけど」と思う場面がきっと多いだろうなあ。


携帯電話ユーザーの情報漏洩

 2008-03-18
  中国に滞在している人たちのほとんどが携帯電話を持っていると思う。私もそうなのだが、携帯電話に意味不明な広告メール(中国の場合はメールではなくてSMS(ショートメッセージサービス中心だが、以下メールに統一)たくさん来ているのではないかと思う。なぜこのようなメールがくるのかというと、要するに携帯電話番号が売られているというのだ。日本でも同じような現象が見られるが、ここ中国においても同じだ。そしてこの携帯電話番号がなんとひとつあたりたったの0.05元(日本円で0.7〜0.8円程度)で販売されているというのだ。しかも、販売される情報は携帯電話番号のみならず、ユーザーの収入、年齢、職業、所在都市等が含まれているという。一体どこからこのような情報が漏れているのかということになるが、携帯電話会社のキャリア、銀行、不動産会社等からだという。こういうところからであればこれだけの情報が流れてしまうわけだ。

  中国の個人情報保護法は現在制定途中にあり、新聞報道等によるとそう遠くない将来には公布されることになるだろうとのこと。これを機会に上のような状況が変わることを期待したい(でも現実は難しいかなあ)。



対中投資なお増加中

 2008-03-14
  一時の進出ラッシュが一段落してしばらくになるが、やはり以前と比べて会社の新設は減ってきた印象がある。しかしながら、先日商務部長がコメントした内容によると投資そのもののの勢いは決して悪くないようだ。以下は商務部長のコメント。

 ・ 今年1-2月の実際使用外資(FDI)金額は増加しており、大プロジェクトの投資、人民元高によりも たらされた増加幅が鮮明。
 ・ この二ヶ月に限って言えば、特に3000万米ドル以上の投資が昨年対比2.5倍にも上っている。
 ・ 「米ドルで中国へ投資し、人民元転するならば、当然早くなければならない。遅くなれば同じ米ドルでも得られる人民元は少なくなる」ともコメント)要するに人民元の対米ドル高も外商が出資を急ぐ原因であるという意味)。
 ・ 中西部投資についても昨年対比中部1.4倍、西部3.3倍と増加。
 ・ サブプライム問題や先進国経済の停滞により、中国の投資成長性が高く、より中国への投資へ向いている

  商務部長が言うように、人民元高という要因を見れば確かに早めに投資するのがいいのだろう。ただし、投資を行うからには当然リターンを得なければならず、果たしてその実現性があるか否かを検証した上で行うべきである。特に今年は企業所得税法、労働契約法、近年来の動きで言えば加工貿易政策の変更といった、アンフェイバーな動きが一気にやってきている。また、環境問題も騒がれ始めていることから、環境保護に対するコストもこれからは考えていかなければならないだろう。そして、元に戻るが人民元高であるので、輸出に頼る商売ではこれからはしんどいといわざるを得ない。実際に以前に比べると中国国内市場へ販売する動きも見られているし、今後よりその動きが加速していくだろう。今のところは中国国内販売を行っているといっても中国に進出している日系企業向け販売の比率も多く、純粋な“中国地場企業向け”中国国内販売の比率は今後まだまだ引き上げられていくのではないかと思う。もちろん、以前から言われているように、中国地場企業の信用リスク、回収リスクを考えるとそんなに派手に展開できないであろう。あまりあれこれ考えるとなかなか前に進まないが、「一日一歩、三日で三歩、三歩歩いて二歩下がる」くらいの気持ちのほうがいいかもしれない。

ついに税務局職員も減給?

 2008-03-13
  昨年10月27日付の書き込み(ここ)で、上海の税関職員の給与が大幅にカットされたのではないかということについて書いたが、そのときに税務局職員も対象になるのではないかと触れていた。そして、昨日知人との会食の中で税務局職員も給与カットが始まったらしいという話を聞いた。家に戻ってからネットで調べてみたところ、上海市の金山税務局で給与45%という内容のものがいきなり見つかった。やはり本当なのだろうか。そしてさらに調べていくと上海の公務員全体で減給を行っており、中でも税関、税務、電力等の部門の下げ幅が大きいという記事を見つけた。そして面白いのはこれに対して同情する人もいないわけではないが、「下辺企業要惨了」というように、税務局員に対してよりも企業がかわいそうだという意見が見られていることである。減給になった職員がそのストレスを企業にぶつけてくると考えているようだ。税関職員の減給の際にはやる気をなくした税関職員の業務効率が下がり不便が生じたというような話を聞いたが、税務局でも同じような問題が起こるのだろうか。

物価高だああああ!!!

 2008-03-12
  既にご存知の方も多いと思うが、3月11日に発表された中国の今年2月のCPI(消費者物価指数)上昇率がなんと8.7%に達し、この水準は1996年5月以来のものだ(ちなみに今年1月の日本のCPI上昇率は0.7%)。統計局はCPIがここまで高くなった要因として2月の春節要因が0.53ポイント、低温大雪要因が1.03ポイントとしているが、それ差し引いたとしても大きな数値である。同じく統計局によると物価上昇は国際市場価格の上昇によるところもあり、例えば今年に入ってからの国際原油価格は30〜40%、今年1〜2月の中国では大豆、穀類、原油および鉄鉱石の輸入金額が各々167%、42%、78%、114%も上昇しており、輸入による影響も非常に目立つといえる。

  次に、品目別で見ると特に目立つのが食品価格の上昇だ。この文章を書いている昼休みの間にも「最近は物価が高いのに」というスタッフの話し声が聞こえてくる。また、日本からの出張者が当社スタッフと話していると毎月のように「最近豚肉の値上げが凄いんですよ」と話しかけられる。それを示すように、2月の食料品価格の上昇率はなんと23.3%にも達している(確かに毎朝のように食べている肉まんも1元から1.2元に値上がりした)。これがCPIを大きく引き上げる要因となっている。春節の時分は例年物価が上昇する時期とのことではあるが、それにしても8.7%はあまりにも大きな数値だ。過去の日本のCPI上昇率を調べてみたが、8%程度の数値となると1980年あたりまで遡ることになる。日本のバブル経済の時期は「日本では1986年から土地や株式が急騰した時期を『バブル経済』と呼び、90年以降株価・地価ともに急落した。この急落時期を『バブル崩壊』という。」(by all about 用語集)とあるが、この頃の日本のCPI上昇率は8.7%の半分にも達してない(個人的にはかなり意外であった)。要するに日本のバブル時代とくらべてもこの上昇率はあまりにも大きい。中国政府としては今年のCPIの目標を4.8%においているが、そのハードルは決して低いとはいえないだろう。中国政府はこの目標数値を果たして「やれんのか!」

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プロフィール

呉 明憲 (meiken@jris.com.cn)

Author:呉 明憲 (meiken@jris.com.cn)
1992年3月 神戸大学経営学部卒業。
1992年4月 住友銀行(現三井住友銀行)入行。
2002年11月 三井住友銀行上海支店へ駐在。
2003年1月 キャストコンサルティング(上海)有限公司へ派遣。
2005年1月 日綜(上海)投資コンサルティング有限公司設立に伴い同社副総経理に就任。

住友銀行入行後、ほぼ一貫して法人業務畑を歩む。上海支店赴任後は中国ビジネスコンサルティングに特化し現在に至る。

日中経済貿易センターJCCNETコメンテーター
財団法人海外職業訓練協会(OVTA)国際アドバイザー

経歴と全く関係ないが週に一度のキックボクシングの練習は欠かせない。

主な執筆
「呉明憲コンサルタントのナレッジストリーム「(『bros』)
「中国税関実務AtoZ」(『The DailyNNA』(中国総合版))
「中国における企業再編」(『bizpresso』)
日綜(上海)投資コンサルティング会員向けニュースレター(JRIS NEWS、一問一答)
週刊エコノミスト2008年4月8日号(高齢化社会の到来で注目のシルバー産業)
週刊エコノミスト2008年8月5日号(ニート、パラサイト化する中国「80後」世代の生態)
週刊エコノミスト2008年11月4日特大号(ネット通販の商品を職場で受け取る中国人)

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